INTRODUCTION
  序言




反射熱 / 岡部淳太郎


りふれくと。りふれくと。われらは常に惑う
存在。それぞれの、歌をうたいながら、街角
をさまよい歩き、太陽と月の相関の間でねじ
れている。鏡は対象を正確に映し出し、その
裏で成長の計画はゆっくりと進行する。自他
ともによく見つめて返すこと。それが、りふ
れくと。投げられた風の速度を友として、わ
れらは常に問う存在。問われる存在。答える
のは私であり、あなたであり、われらのあず
かり知らぬ無償の流砂である。だからこそ、
りふれくと。星に照らされ、石を照らし返す。
あなたの熱が私をあたため、私の熱があなた
をあたためる。谺は常に大きく、そのおかげ
で、われらのそれぞれの体温は保たれている。
人が常にそうであるように、われらもまた、
知らずに誰かをあたため、気づかずに誰かか
らあたためられている。われらのこの健康な
熱を、平和のうちに祝福せよ。りふれくと。
りふれくと。われらは常に惑う存在。うたい
ながら生き、うたいながら生かされている。


(「反射熱」創刊に代えて)




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